宝物
市指定文化財新選菟玖波集2冊
鶴岡八幡宮の宝物の中で、華麗な古神宝類や武門の崇敬を裏付ける刀剣類などは目を引く品々であるが、800年余の歴史を持つ当宮のこと、一見地味な古典籍にも重要な意味を持つものが少なくない。『新撰菟玖波集』もその中の一つといえる。

連歌の社会的地位を確固たるものとしたとされる准勅撰『菟玖波集』が編まれてから130年ほどが経過した明応4年(1495)のこと、朝野にみなぎる連歌集待望の機運に乗ずるかたちで宗祇等が選したのが准勅撰『新撰菟玖波集』である。

基幹構成を四季6巻、恋3巻、雑5巻とする全20巻の体裁は『菟玖波集』と同断だが、『菟玖波集』の時とは異なって室町幕府が疲弊し、撰集を進める力に乏しかった為、有力守護大名大内政弘の援助を受けた。撰集活動は宗祇を中心に兼載、肖柏、宗長等も協力して行われた。

採録歌の傾向としては宗祇の掲げる風体の美の基準(幽玄・長高(たけたか)し・有心)が大きく投映され、俳諧性を乗り越えてそれ以上のものを目指す姿勢が貫かれている。その結果『新撰菟玖波集』は連歌の達する至高の境地を顕現したと評されるに至った。当宮所蔵の写本は、比較的に古写本、善写本に恵まれた『新撰菟玖波集』の中でも重要な古写本の1つ。俗に鎌倉八幡宮鶴岡本と呼ばれるもので、御巫(みかなぎ)本(天理図書館蔵)系の本を底本とし、邦高本(天理図書館蔵)1本を用いて校合、補注を施しており、大永6年(1526)に近い時期に書写されたと推定される。能阿弥筆との極札があるも真偽は未詳。

体裁上の特徴は上下2冊ともに表紙の題を欠いている点、見ひらきに金砂子を散らして雲形が描かれている点が挙げられる。裂帖装・桜模様の表紙に、用紙は斐紙を用いており、虫喰の補修も若干認められる。20.5糎×15.7糎、紙本墨書。昭和49年4月に鎌倉市の文化財に指定されている。
新選菟玖波集
新選菟玖波集

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