宝物
県指定文化財堆黒箱1合
堆黒箱イメージ 木地の上に漆を幾層にも厚く塗り重ね、その面に文様を彫刻した工芸を彫漆といい、その漆の色により堆朱・堆黒・堆黄などと区別して呼ばれている。中国宋・元時代に大流行し、我が国の漆工芸に与えた影響は大きい。鎌倉彫はこれらの模倣から始まったともいわれるほどである。

本品は堆黒で、その形態は正方形、蓋表の削面(そぎめん)を大きくとり身の四隅に脚をつけている。蓋と身は、たがいに合うようにつくられた印籠蓋造りで、身の底は竹編みの胎地からなる。
堆黒の文様は上部は文様化された「寿」の字をまん中に、「長命富貴」の文字と4つの吉祥文を配し、その四周に雷繋文が、削面と側面には菊の花や葉、そして四足獣を中心に如意状の雲や樹木などが巧みに彫刻されている。

蓋の上部や身の下部のふちの四周、脚の下のくぼみには朱漆が施され、黒と朱の色が相まって製作当時は、目に鮮かな作品であったことが推測される。中国より渡来した堆朱・堆黒の作品は、我が国に数多く伝来するが、このように吉祥文字・文様を大きく扱った遺品は珍しい。箱の底部には、朱漆にて「贈日本客僧栄西禅師 明昌元侍郎周宏」と銘文がある。これによると、我が国の臨済宗の祖である明庵栄西が、金朝の明昌元年(1190)に侍郎周宏より贈られた品であることがわかる。栄西の2度目の入宋は、文治3年(1187)より建久2年(1191)までで天台山虚庵懐敞(こあんえしょう)から臨済禅を学び法脈を得ているが、明昌元年は帰国の前年にあたる。
また、使用途も不詳であるが、当宮では食籠(食物を入れる容器)と伝えている。
堆黒箱イメージ

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