自然
樹木物語
キろうかキるまいかキリのキ桐
桐イメージ 木枯らしが二度、三度と吹くと太鼓橋の下の水面にカエルの水掻きの形をした大きな葉が浮きます。桐の葉です。御本殿を正面に見て太鼓橋の左手、赤橋際の石垣から幹と根をからませて池に突き出して生えています。

葉をすっかり落としたキリは巫女の持つ神楽鈴に似た蕾を枝も空に掲げています。初夏まぢか風が薫り始めると繊毛に覆われた蕾は割れ、釣鐘形の薄紫の花が次々に顕れます。喫水に近い石垣の間から実生した木は小木ながら、良く目立ち、大振りなキリの花をあらためて見なおさせてくれます。行き交う人々も皆、花の時期には足を止めて見上げますが、何の花かと不思議そうな顔ばかりで、キリの花と知る人は少ないのです。かつては、畑のすみや、屋敷内にあって身近であったキリです。成長が極めて早いことから、女の子が生まれるとキリを植え、嫁に行く時はこの木を伐り嫁入道具としました。

少しの遊休地にも気安く植栽され、また簡単に伐採されます。材料としてのキリ材は、下駄を始め家具、建具、小物など用途は広く、楽器としても使用され、当宮の御鎮座記念祭(12月16日)の御神楽で奏される和琴もキリ材です。和琴の精妙な音色も、この材なくしては考えられません。

柳田国男の遠野物語には白望山の段に「五月に萱を刈りに行くとき、遠く望めば桐の花の咲き満ちたる山あり。恰も紫の雲のたなびけるが如し。されども終りに其あたりに近づくこと能はづ。」と記されています。このような山にある天然のキリはテンギリと呼ばれ大変高価です。
また、大木になると葉が次第に小さくなり、天保銭ほどにもなるといいます。秋の終り、この小さな葉が落葉となり川を流れ下るのを見て、上流にテンギリを探し歩けども、やはり見つけることなく終るといいます。古代、鳳凰が宿っていたというキリは、神秘的な言い伝えを数多く秘めています。

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